ARDKの開発要件とランタイム要件
このドキュメントでは、ARDKを使用してAR体験を開発するためのシステム要件と、ARDKで構築したAR体験を実行するためのシステム要件について説明します。
開発要件
ARDKを使用してAR体験を開発するには、Unityと、対象のモバイルプラットフォーム用開発ツールが必要になります。
Unity
ARDKは、Unity 2020 LTSおよびUnity 2021 LTSを公式にサポートしています。Unityをダウンロードする方法については、https://unity3d.com/get-unity/download をご参照ください。
Unityの スクリプティングランタイムバージョン は、.NET 4.xを公式にサポートしています。
ARDKは、Unityのユニバーサルレンダーパイプラインと併用することができます(詳細については、 ユニバーサルレンダーパイプラインの使用 を参照してください)。
現在ARDKは、Unity MARSと連携されていません。ARインエディタツールは、 Virtual Studio から入手できます。
iOS開発
ARDKでは、iOS向けにビルドとデプロイを行うためにXCode(最低動作バージョン13)が必要です。必要なXCodeのバージョンは、対象のiOSバージョンによって異なります。インストールするXCodeのバージョンを確認するには、https://developer.apple.com/support/xcode/ の「最低要件とサポート対象のiOS SDK」テーブルを参照してください。XCodeをダウンロードする方法については、https://developer.apple.com/xcode/ を参照してください。
ARDKでの開発には、Big Sur以降のOSが搭載されたMacが必要です。OSがCatalina以前のMacはサポート対象外です。
Android開発
ARDKを使用するには、AndroidのAPIレベルが24以上である必要があります。サポート対象のAndroidプラットフォームおよびAPIレベルの一覧については、プラットフォームのコード名、バージョン、APIレベル、NDKのリリース を参照してください。
UnityでAndroidアプリをビルドしてデプロイするため、Android Studioをインストールする必要はありません。 Android向けにビルドする や Androidの環境設定 に記載されているように、UnityにAndroidビルドのサポートをインストールする必要があります。また、Android Debug Bridge(adb) がインストールされていることが必要です。
テスト用のAndroidデバイスで、開発者オプション と USBのデバッグ が有効になっていることを確認します。
Android向けにビルドする際に必要なUnityの追加ビルド設定については、 Android向けにビルドする を参照してください。
Android向けに開発する際は、以下の点に留意してください。
ARDKとAndroid 11(APIレベル30)以上を使用する携帯電話には競合が存在しています。Unityで作られたARDKアプリがターゲットAPIレベルを30以上としている場合、Android 11以上のデバイスでは、インストール済みかどうかに関係なくGoogle Play開発者サービス(AR)が使用不可として表示されます。APIレベル30以上を対象にする必要がある場合は、 Android向けのビルド 内の「Android 11(APIレベル30)以上を対象とするビルド」をご参照ください。
Windowsでの開発
ARDKを使ったアプリの開発はWindowsでも行うことができますが、ARDKのネイティブプラグインは、現時点でiOSやAndroid、MacOS向けに作成されており、Windowsマシンにロードすることはできません。Windowsで使用すると、次のような問題が発生する場合があります。
ARDKのネットワーク機能は、Unityでは動作しません。この機能にはネットワークAPIや共有AR機能が含まれます。モバイルデバイスにデプロイした場合は正常に動作します。
リモートモードは、現在Windowsの無線モードでは動作しません。Windowsでリモートモードを使用するには、USBを使用してデバイスに有線接続する必要があります。
Unityでプロジェクトを実行すると、Unityコンソールに「System.DllNotFoundException: ardk_client_platform」という例外のエラーメッセージが表示されることがあります。このエラーメッセージは、Windows上でネイティブコールが動作していないことが原因で表示されます。このように例外が表示されても、モバイルデバイスで実行されているアプリには影響しません。
Windowsマシンに接続している場合は、ARFrameが圧縮されないため、リモートデバッグアプリケーションが動作していてもフレームレートは低下します。
Windowsの一部のバージョンでは、ファイルパスの文字数が260文字に制限されており、ローカルシステム上で深くネストされたファイル階層にあるUnityプロジェクトでARDKを使用すると、ビルドの問題が発生する場合があります。Unityプロジェクトをシステム上の階層が浅いファイルパスに配置するか、長いファイルパスを有効にすることをお勧めします。長いファイルパスを有効にする方法については、 Maximum Path Length Limitation(パスの最大長の制限) をご参照ください。
Appleシリコン搭載Macでの開発
Appleシリコン搭載Macで開発する場合は、Unity 2021の「Silicon(シリコン)」対応バージョンを使用することをお勧めします。
ランタイム要件
ARDKは、複数のモバイルOSやデバイス上で実行できますが、ARDKの機能の中には、デバイスOSの特定のバージョンに依存するものがあります。一部の機能では、最低限のハードウェア構成が必要です。ARDK機能を使用する上で必要な最低限のデバイスとOSランタイム要件の一覧を以下のテーブルに示します。
注釈
現在、ARDKでは、モバイルデバイスのランドスケープモードはサポートされていません。
ARDKの機能 |
Androidの最低動作バージョンとデバイスの要件 |
iOSの最低動作バージョンとデバイスの要件 |
---|---|---|
ARの基本機能 |
||
アンカー(Anchors)、光源推定( Light Estimation)、平面検出(Plane Detection)、点群(Point Cloud)、画像認識(Image Detection)、平面ジオメトリ(Plane Geometry)、参照画像(Reference Image) |
Android 7 Nougat (API level 24), see ARCore Supported Devices |
iOS 11.3, iPhone 8 and above |
コンテキスト・アウェアネス機能 |
||
深度、オクルージョン、メッシング、セマンティック セグメンテーション |
Android 7 Nougat (API Level 24), High-end devices released since 2018, requiring one of the following GPUs or better: Qualcomm Adreno 630, 640, 650, 660; ARM Mali G72, G76, G77, G78. See details below. |
iOS 13, iPhone 8 and above |
LIDARによる深度の精度向上(iOSのみ) |
N/A |
iOS 14, iPhone 12 Pro and above |
平面分類(iOSのみ) |
N/A |
iOS 12, iPhone XS and above |
共有ARの機能 |
Android 7 Nougat (API level 24), see ARCore Supported Devices |
iOS 11, iPhone 8 and above |
Scanning Frameworkの機能 |
Android 7 Nougat (API Level 24), High-end devices released since 2018, requiring one of the following GPUs or better: Qualcomm Adreno 630, 640, 650, 660; ARM Mali G72, G76, G77, G78. See details below. |
iOS 14, iPhone 8 and above |
Lightship VPSの機能 |
Android 7 Nougat (API level 24), see ARCore Supported Devices |
iOS 11, iPhone 8 and above |
注釈
現在ARDKでは、iPadデバイスはサポートされていません
Androidデバイスとコンテキスト・アウェアネス
コンテキスト・アウェアネス機能のサポートが検証されているチップセットとデバイスは次のとおりです。一般的にこれらのチップセットは、2018年以降に発売された端末で利用可能です。他のハードウェアでコンテクスト・アウェアネス機能を使用すると、パフォーマンスの低下やクラッシュにつながる恐れがあります。
Adreno 630、 Mali G-72(Google Pixel 3、Samsung Galaxy S9およびS9+、Samsung Note 9)
Adreno 640、Mali G-76(Google Pixel 4、Samsung Galaxy S10、Samsung Note 10)
Adreno 650、Mali G-77(Samsung Galaxy S20、Note 20)
Adreno 660、Mali G-78(Samsung Galaxy S21、Note 21)
ARDKでは、一部の機能でGoogleのGoogle Play Services for AR(ARCore)を利用しています。GoogleのARCoreに対応した端末の一覧は、ARCore対応デバイス をご覧ください。
デバイス要件の検証
実行時にデバイスのハードウェアとソフトウェアの性能を確認する方法については、 デバイス要件の検証 ページを参照してください。